研究内容
骨格筋の機能維持に注目した水産脂質成分の機能性解析
超高齢社会の中、日本人の80歳以上男性の3割、女性の約半数が加齢に伴い筋量・筋力が低下するサルコペニアに該当し、介護や医療費の観点からもサルコペニアの予防と筋機能の維持は重要な健康課題の一つです。食品成分によるアプローチとして、我々は筋委縮予防効果や、骨格筋および骨格筋と他臓器との連関によるエネルギー代謝制御機能を持つ水産脂質成分の探索を行っています。
筋委縮の要因には損傷した筋繊維を修復する筋再生能の低下が挙げられ、筋芽細胞から筋管細胞への分化促進効果を持つ化合物は筋委縮予防に有効な機能性成分として期待できます。これまでに我々は、筋形成モデルC2C12筋芽細胞やマウスの骨格筋から採取した筋芽細胞を用いて、筋形成促進効果を示す水産脂質成分をいくつか同定しています。スクリーニングした有望な脂質成分については、老化や代謝性疾患モデル動物を用いて、実際に食事摂取した際の生体での効果検証を進めています。水産生物が持つユニークな化学構造と機能発現との関連性を明らかにしていくことで、未利用資源の有効活用にも期待が高まります。