研究内容

新たな健康機能性脂質の探索

水産物および海洋生物には、陸上生物中には見られない特徴的な分子構造を持つ化合物が数多く存在します。それらの中には、多様な分子構造に基づいて高い生理活性を示すものがあります。当研究室では、各種クロマトグラフィーや質量分析法、核磁気共鳴分光法など分析技術を駆使して、海洋生物から抽出・単離した脂溶性成分の構造決定や定量分析を行うとともに、機能評価を通して新たな健康機能性物質の探索研究を展開しています。

 

我々はこれまで、ホヤやホタテガイ卵巣からアレンカロテノイドやアセチレンカロテノイドを単離し、活性化マクロファージに対する抗炎症作用や脂肪細胞に対する分化抑制能を明らかにしてきました。最近では、二枚貝やサケ精巣に含まれる非メチレン型脂肪酸やフラン脂肪酸、海洋細菌が生合成するモノサイクリックカロテノイドを同定しており、現在、詳細な機能性解析を進めています。このようなマリンケミカルの新規探索に関する研究は、水産物や海洋生物の高度利用に資するものと考えています。